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一人称と三人称

 小説を書きはじめるときに、最低限決めておかなくてはならないことがいくつかありますが、その1つに「人称をどうするか?」ということがあります。
 小説は一人称で書かれる物と三人称で書かれる物があります。
 登場人物の中の誰かが語り手となって、「わたしは家を出た」とか「おれは走って逃げた」というように書かれるのが一人称。特定の人物の視点ではなく、作者が神のような視点で書くのが三人称です。
 どちらにするかを決めないことには小説を書き始めることはできません。書き始めたら、原則としてその書き方に最後まで縛られることになりますから、「取りあえずこっちで」というわけにはいきませんので、「一人称か三人称か」というのは、とても重要な問題です。
 たまに、ネットの小説だと、一人称と三人称がごっちゃになっている話がありますが、そういうのは、大抵読んでいてわけわかんなくなりますので、読むのをやめます。三人称で書かれている中に突然「ぼくは、彼女の顔を見た」なんて出てくると、「お前、誰だよ」と突っ込むしかなくなります。
 ということで、小説を書き始めるに当たっては、必ず「一人称で書くか三人称で書くか」という問題をクリアしないといけません。

 一人称と三人称。どちらにも、それぞれ、利点欠点があります。
 一人称は、三人称に比べて、書くのが非常に楽です。登場人物の1人になったつもりで書けばいいわけですから、架空の日記を書くような感じで物語を進めていけます。視点が固定なので、語り手が見聞きしたこと、考えたことを時系列に沿って書けば、物語としては、それで成立します。簡単に書けるというのが一人称の最大の利点です。
 ただし、一人称の場合、語り手が見聞きしていないことは書けない、という欠点があります。
 例えば、アクション映画でよくあるようなこんなシーン。ヒロインがどこかに監禁されて、殺されそうになっているのを、ヒーローが助けに行こうとするんだけど、監禁されている場所がわからなかったり、手下に行く手を遮られたりして、なかなかヒロインの元に辿り着けない。映画だと、ヒーロー側、ヒロイン側のシーンを交互に出すことによって盛り上げていきます。2つの場面を描くことができるからこそハラハラドキドキするわけです。
 ところが、一人称の小説では、そうはいきません。特定の登場人物の視点を通してしか物語は進行しないからです。これをヒーローの一人称で描くと、ヒロインが今、どれほどのピンチなのかわからないし、ヒロインの一人称では、ヒーローがどこまで来ているかわからない、というように、どちらにしても、いまひとつ盛り上がりに欠ける描き方しかできません。
 このあたりは、三人称であれば、自由自在です。最近のサスペンス系の小説では、映画のように3つか4つの場所で同時に起こっていることをなるべく短い章立てで小気味よく描いていくのが主流みたいです。主人公が体験しなかったことでも描ける、というのが三人称の最大の利点です。
 三人称であれば、場面だけでなく、時間の経過も自由に変えられます。Aという場所で起こったことを書いた後に、Bという場所で1時間前に起こったことを書く、ということも可能です。
 また、一人称であれば、語り手以外の心理を描くことはできません。誰かが泣いていたとしても、その人が本当に悲しいのか、泣いている振りをしているだけなのか、語り手にはそれを特定する術はありませんが、三人称であれば、神の視点ですから、すべての登場人物の心理状態を事細かに描くことが可能です。
 要するに、三人称は、一人称に比べて、圧倒的に多くの表現技法が使える、ということです。ただ、これは、逆に言えば、どこでどんな技法を使うか、作者が全部決めないといけない、ということでもあります。これは、相当技術がないとできません。
 実際、三人称で書くのは、難しいです。何でも書けちゃうだけに、何を書いて何を書かないかという判断が必要です。的確な判断をするためには、小説の全体像がある程度固まっていないといけませんから、適当に書き始めると失敗する可能性が高くなります。

 ということで、今のところ、このブログにある小説は、全部一人称で書かれています。
 わたしの場合、取りあえず、設定だけ決めて書き始めることが多いですから、三人称は向きません。おぼろげながら見えているラストに向かって、時系列に沿って主人公の単一視点で書き進めるのが精一杯という感じですので、必然的に一人称で書くことになります。

テーマ : 雑記 - ジャンル : 小説・文学

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