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一人称代名詞の話

 日本語の特徴として、敬語というものがあります。
 話し相手との上下関係によって、同じ意味合いのことでも言い回しが変わってきます。
 尊敬語とか謙譲語とか古文で出てきましたね。テストでよく「傍線Aは、誰に対しての言葉か述べよ」なんて問題がありました。答えは、「尊敬語が使われているので、天皇」みたいな感じ。こういう問題は、全然できませんでした。
 敬語と言うのは、古文だけのものではなく、現代にも引き継がれています。日本人は、会話するに当たって、無意識のうちに上下関係を推し量り、敬語をどのように使うか、考えながら話しています。「最近の若者は敬語を使えない」と言う人がよくいますが、そんなことはありません。若い人がよく使う言葉にタメ口なんてのがあるぐらいですから、ちゃんと敬語というものは存在しているのです。かなり、変化はしていますが。
 敬語というのは、形を変えながらも日本語の中に脈々と流れ、今後も伝わっていくのでしょう。

 英語と違って、日本語には人称代名詞が山のようにあるというのも、元はと言えば、敬語を使うために、尊敬、謙譲、丁寧という意味を持った人称代名詞が必要だったからではないでしょうか。英語のIに当たる言葉が、日本語では、わたし、わたくし、ぼく、あたし、おれ、わし、おいら……。おいらは、さすがに今では使いませんか。ちょっと古いマンガだとよく出てきましたが。そう言えば、長渕剛の歌の一人称は、昔は「おいら」でした。
 取りあえず、先に列挙した言葉はひらがなで表記しましたが、私、僕、俺と漢字で表記したり、ボク、アタシ、オレとカタカナ表記にしたりすると、音は一緒でも、印象は違いますので、小説を書く上では、別の言葉と見るべきでしょう。わたしは、登場人物が「おれ」と言うか、「俺」と言うかで、いつも悩んでいます。
 この他にも、わい、おい、あっしのような方言で使う(使われていた)言葉や、我輩、小生、といった、文章内で使うようなもの、拙者、それがし、余みたいに、時代劇で出てくるようなものも入れると、本当に無数にあるという感じです。

 小説を書く上では、登場人物がどの一人称代名詞を使用するかということを決めておかないといけません。そうしないと、会話文が書けません。で、できることなら、すべての登場人物の一人称代名詞を分けてしまいたい、というのが作者の本音です。

「明日ボクが家まで迎えに行きます」
「でも、あたしの家知らないでしょ」
「心配いらねぇよ。俺も一緒に行くから」
「では、わたくしもそこで待ち合わせと言うことで」

 4種類の一人称代名詞を使うだけで、いちいち地の文で誰が何を言ったか書かなくても、4人の会話が成立します。一人称代名詞だけではなくて、口調も発言者を区別する要素になっていますが。
 ただ、成立する、というのは、あくまで作者側の一方的な言い分であって、これで本当に読者に伝わるかというのは、別問題です。商業作品でも、一人称代名詞や口調をきっちり分けた上で、大人数で会話するシーンが出てくることがありますが、やっぱり、誰が何を喋ってるのか、わからないというのが多い気がします。作者的にはきっちり書き分けられていて、ちゃんと論理的に読み解けばわかるようになっているのだと思いますが、そこまでロジカルに読んでいるわけではないので、よくわからないということになってしまいます。
 一人称代名詞や口調は、人物を区別する一助にはなるけど、それだけで区別することは難しいということでしょうか。そんなわけで、わたしの基本方針としては、「登場人物を区別する」よりも「登場人物を数を減らす」という方向に行っています。

 『xxxy』も『呪遣いの妻』も、主人公の一人称代名詞は、「おれ」にしました。この2つは、主人公が美女や美少女になってしまうお話だったので、美女や美少女が絶対に使わない言葉を使おうと思ったからです。『呪遣いの妻』の主人公はともかく、『xxxy』の方は「おれ」よりも「わたし」の方がイメージ的には合っているかな、と思ったのですが、「わたしは24歳の巨乳美女だ」と書くよりも「おれは24歳の巨乳美女だ」と書いた方がインパクトがあると思い、こうしました。
 日本語は、いちいち主語をつける必要がない、というか、前に出てきた主語が続く場合は、普通は主語はつけないものです。「おれは○○した。次におれは××した。最後におれは△△した」なんて具合に、毎回「おれは」をつけたりはしません。でも、女性的なことを表す文の場合は、極力「おれは」をつけるようにしました。その方が「男が女性の体になっている」という感じを出せると思ったからです。
 あと、「おれ」にするか「俺」にするかでも悩みました。
 これはあくまで個人的な考えなのですが、漢字で「俺」「私」「僕」と書いた場合、ひらがなの「おれ」「わたし」「ぼく」に比べて、ちょっと硬い言い方に感じます。ひらがなの方がちょっとくだけた感じという認識です。
 個人的な会話だと「わたし」だけど、ビジネストークだと「私」みたいなイメージでしょうか。
 これが「オレ」「ボク」とカタカナになった場合は、更にくだけて、コメディタッチのときは、こっちかなあ、と思っています。

テーマ : 雑記 - ジャンル : 小説・文学

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